その美容法ちょっと待った!~血液クレンジング~

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みなさん、もうすぐ週末ですね。最後の平日、しっかり週末に向けて準備しましょう!関東甲信越、東北では雨みたいなので、特に被災地の方々は再度の警戒をお願いします。

さあ、最近Twitterなどでトレンドになっている、血液クレンジングに関して調べてみました。最近までマクロは存在すら知らなかったですが、一体どんなものなのでしょうか。文献を検討していきましょう!

そもそも血液クレンジングとは?

正式?にはオゾン大量自家血療法というようです。100-200mlの血液を取り出し、オゾンと結合させて体内に戻す治療のようです。

理論としては、

  • 血液の酸素化
  • 抗酸化ストレス効果
  • 免疫力向上
  • 血流改善

などが想定されているようです。

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文献的考察

PubMedで、 オゾン大量自家血療法 の英語であるOzone autohemotherapyで検索をすると72件の結果が出てきます。

すべての論文を読める論文は全文、残念ながら契約の関係で読めないものはAbstractのみ読んでみました。

どうやらヨーロッパでの報告が多く、

  • 多発性硬化症[1]
  • 硬膜外血種
  • 末梢動脈疾患(特にCKD患者さんの)

の症状改善に対して有効なのでは?という内容が散見されました。ただし、一方で掲載されている雑誌に偏りがあること、上記の疾患以外の論文は血中SOD濃度など、臨床的なOutcomeではなくあくまで検査値など代用Outcomeを調べていたり、RCTがなかったり、まだラットなどでの実験報告レベルにとどまるものばかりでした。

そのなかでも、とある症例報告でオゾン療法の後に急性心筋梗塞を起こした症例報告がありました。その論文中には、オゾン療法は特定の分野(上記のMSなど)で使用されていることがあるが、その安全性には注意が必要であると。プロトロンビン活性を持っていたり、血管収縮作用があるため注意が必要であると書いています[2]。

私見

いろいろ調べて思うことは、一概にオゾン療法が全くのデマとは言えない。ただし現実的に、標準治療になるようなエビデンスはないです。これからRCTなどが盛んにおこなわれて、世界的に研究結果が集積すれば、活用の幅が広がるのかもしれません。

ただし!それはあくまで、適切な患者さんに適切な方法で治療が行われる場合のみです。決して、一般の方々が健康や美容のために、気軽に行う治療ではありません。立証されている効果はありませんし、余計な合併症だらけです。ましてや自由診療で、高価なお金を払うのは非常に残念でなりません。

内科的には、感染症のリスクが非常に心配です。針を刺すだけでも、菌血症のリスクは常に付きまとっている(病院での採血や点滴はそのリスクを上回るから行うのです)。また器具に関しても、滅菌消毒のプロセスも不明ですし、点滴チューブ、オゾン添加?器具、針、いずれも細菌たちが感染症を引き起こすチャンスを悪戯に増やしています。

そもそも、血液の酸素化や浄化に関しては我々が持つ肺と腎臓が、毎日1秒も休まず行ってくれています。どんな機械よりも精密に連携をとっておこなっているのです。免疫に関しても、白血球などの免疫細胞や、皮膚バリアが常に病原体から守ってくれているのです。特に皮膚バリアは、非常に重要な盾であり、メリットもないのに針を刺す行為は行うべきではありません。

さて、少しだけ熱くなってしまいました。さらに悲しいのは、世間に影響力の強い芸能人の方々が、半ば宣伝するようにSNS上にこれらの美容法を挙げてしまうことです。でも、今からでも遅くはありません。この記事を読んでくださった方々は、ぜひ判断を慎重に行ってください。それが、我々、トリッキー先生からの処方箋です。

引用文献

  1. Int J Immunopathol Pharmacol. 2014 Jul-Sep;27(3):379-89.
  2. Cardiology. 2015;132(2):101-104.
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