おっす、おらトリッキー!どうも、Dr.マクロです。さて、需要があるのかないのか分からない抗菌薬シリーズ、諦めず継続していきます!笑 ちなみにDr.空手とDr.ほほえみには好評のようです。
今回はカルバペネム系です。抗菌薬の適正使用が叫ばれる昨今に、むしろ使用しにくくなっている抗菌薬であるカルバペネム。あえてカルバペネム系抗菌薬を勉強する機会は、意外と少ないのでは?でも適正使用するのならば、「すっごいスペクトラムがひろい!」とか、「メロペンいってれば治るよね!」なんていう理解では不十分です!この際にカルバペネムの使い所を押さえましょう。
History
1976年:チエナマイシンという、強力かつ広い細菌に効果のある物質が発見されました。しかし、生体内での安定性や、腎毒性、中枢神経毒性が強く臨床応用には課題を残しており実用化には至らなかったです。
その後、複数の研究グループが安定性と副作用軽減を目標に、イミペネム、メロペネム、ドリペネムの3剤を開発し販売に至りました。イミペネムは腎毒性軽減のためにイミペネム/シラスタチン(商品名:チエナム)のような合剤で販売されています。一方、メロペネムは1βーメチルカルバペネム骨格を持ち、単剤で非常に安定しており、かつ副作用も少ないことが特徴の商品です。使用しやすさが、カルバペネムの普及と、反対に乱用を生んでいるのかもしれませんね。
Spectrum
さて、肝心要のスペクトラムです。確かにかなり広域です。ESBL産生腸内細菌のような耐性菌にも効果があります。なので、こういう場合はカルバペネムが無効な微生物を覚えましょう!そのほうが手っ取り早いですし、仮にメロペネム使用していて改善に乏しい感染症に遭遇しても慌てず、狙うべき敵を絞ることができますね。
- GPC:MRSA、腸球菌
- GNR:カルバペネマーゼ産生菌、Stenotrophomonas maltphilia
- 細胞内寄生菌
これらはカルバペネムでも効果に乏しい細菌たちです。特にS.maltphiliaなんかはICUセッティングでカルバペネム使用中の治療抵抗性Ventilator-associated pneumoniaなどでよく鑑別になります。治療はST合剤かLVFXですね。カルバペネマーゼニ関しては、別記事でβラクタマーゼに関して書くのでここではそんなのもあるんだなくらいでお願いします。
次に、使いドコロを学びましょう!
- ESBL産生菌やAmpC産生菌等の耐性菌感染
- 敗血症性ショックの経験的治療(MEPM+VCM)
- 発熱性好中球減少症の経験的治療(ただし、耐性菌の培養歴ないのであればCFPMやPIPC/TAZなどを使うのが一般的)
これらの状況は、カルバペネムを使用してもイイワケできる状況でしょう。
副作用&相互作用
ここではおそらく最も使用頻度の多いと考えられるメロペネムの副作用を中心に扱いましょう!
- アレルギー:真のペニシリンアレルギーとの相互作用はほとんどない
- 消化器症状
- 痙攣などの中枢神経毒性:稀ですがMEPM脳症なんてのもあります
- 血小板減少
次に相互作用です!かなり相互作用少ないのですが、要注意の薬剤があるのでまとめますね。
- バルプロ酸:なんとMEPMと併用すると、バルプロ酸の濃度が測定できないほど下がるので注意です!自分の症例で経験あり、痙攣発作は幸い起こらなかったですが要注意!
- プロベネシド:こちらはMEPMの血中濃度を挙げてしまうので有害事象が増える可能性があります!
特にバルプロ酸は比較的、抗痙攣薬の中では投与患者が多いと思いますので必ずチェックしましょう。
以上、カルバペネム系のまとめでした!意外とこういう記事はないと思うので、これを気にAnkiに入れて完全暗記してしまいましょう!Adios!
コメント
[…] 最初にカルバペネム系の抗菌薬自体を復習しておいてください。詳細は前の記事を参考に! […]