カルバペネム系抗菌薬投与中に培養でGNRが生えてきたら?

勉強
Sponsored Links
Let`s Share:

Ola!Dr.マクロです。

今回は少しまじめかつ難しめなお話です。タイトルの通りにカルバペネム系抗菌薬を使用している最中にグラム陰性桿菌: GNRが生えてきたら?というお話。培養というのは血液培養を念頭に置いていますが、どの培養でも良いです。

皆さんどうでしょうか?何かアイディアはあるでしょうか。

カルバペネム系のスペクトラムをおさらい

最初にカルバペネム系の抗菌薬自体を復習しておいてください。詳細は前の記事を参考に!

簡単におさらいすると、

  • 偏性嫌気性菌や耐性菌も含めてカバーできる非常に広域な抗菌薬!
  • 効果がない細菌を覚える方が早い!
    • GPC: MRSA, 腸球菌(特にEnterococcus faecium)
    • GNR: カルバぺネマーゼ産生菌、多剤耐性ブドウ糖非発酵菌、Stenotrophomonas maltophilia
    • 細胞内寄生菌

でしたね。

Sponsored Links

カルバペネム系抗菌薬投与中のGNR菌血症

例えばメロペネムを投与中に発熱があり、培養採取した際にGNRが生えてきたら何が鑑別でしょうか?

そうです!上記のカルバペネム無効のGNRがそのまま鑑別になります。ではGNRだとわかった段階で、私たちは何をすればよいのでしょうか?

それは細菌検査室へと足を運び、技師の方々とディスカッションをすることです。内容は、

  • Gram染色が腸内細菌様かどうか → カルバぺネマーゼ産生腸内細菌科細菌が分かる
  • 非腸内細菌(=ブドウ糖非発酵菌)ならばOxidase試験の確認!

Oxidase試験

非常に簡便に細菌の鑑別を進めることができます。

Oxidase反応とは水素と酸素から水を生成する反応のことです。細菌の中にはこの酵素を持っているものと持っていないものがいます。

例えばO2を使用しない、むしろO2のある環境では増殖しにくい偏性嫌気性菌は持たないです。また通性嫌気性菌の中でも持つもの持たざる者が分かれます。

Oxidase試験陽性となるブドウ糖非発酵菌が、Pseudomonas aeruginosa: 緑膿菌Burkholderia cepaciaです。

Oxidase試験陰性となるブドウ糖非発酵菌が、Acinetobactor sppStenotrophomonas maltophiliaです。

インターネットで検索すればいっぱい写真が出てくるので見ておいてください。良ければ実際に細菌検査室でやりましょう!

それぞれの治療

実際には菌名や感受性を待って適正治療に切り替えますが、それまで手離しで待っているわけにはいきません。カルバペネムが投与されているということは患者の重症度もそれなりに高い状況が想定されますので、先手で治療をする必要があるでしょう。

上記で目星がつけば、

S. maltophiliaならST合剤またはキノロン系抗菌薬を加える

緑膿菌が疑わしいならば、アミノグリコシドの追加やコリスチンの準備も進める

Acinetobactorの培養歴があるならばアンピシリン/スルバクタムの使用を検討する

などなど。それぞれについてはおいおい記事を書きますので、フーン程度に思っておいてください。

Take home messages

  • カルバペネム系抗菌薬を復習!
  • カルバペネム系抗菌薬の使用中にGNRが生えたら細菌検査室へGo‼‼
  • Gram染色とオキシダーゼ試験で鑑別を進める!

以上です。

Adios!

Let`s Share:
Sponsored Links

コメント

タイトルとURLをコピーしました