さてさて!以前からやりたかった企画である、我々の本棚紹介をさせて頂きます。これは3人の医師が読んで良かった、為になった、面白かったなど、みなさんと共有したい本を紹介するコーナーです。
医学書をメインでご紹介しますが、ライフハックや資産運用などカテゴリーを制限しないので色々雑多な投稿になることをお許しください(漫画も紹介する気まんまんです!)
記念すべき第1回目の本は悩んだのですが、最近読んだ本の中から選んでみました!タイトルにある、「外来で目をまわさない めまい診療シンプルアプローチ 城倉健 著」です。城倉先生はこの本まで存じ上げなかったのですが、非常に勉強になる内容でしたので紹介しますね!
- 書籍情報
- 何がスゴい!?
- 実体験と照らし合わせて
- まとめ
書籍情報
内容紹介
ありふれた症候でありながら,苦手意識を持つ医師が多い「めまい」。本書は脳卒中の専門家である著者が危ないめまいを見逃さないためのフローチャートを用いた簡単・便利なアプローチ法を伝授する。めまいの鑑別診断からその対応まで,やさしい語り口でコンサイスに解説。さらにQRコードによる動画配信で眼振や治療法の理解がいっそう深まること間違いなし。研修医から内科医,開業医まで,これ1冊でもう対応に迷わない! (Amazon内容紹介より)
ということで、既に魅力的な紹介文ですよね!特に、「危ないめまいを見逃さないためのフローチャート」、、、、これは殺し文句ですわ。買ってしまいます。読んでみると、城倉先生は、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの神経内科部長/副院長/脳卒中・神経疾患センター長と、目の回るくらいの肩書きですね。これを見て思うのは、偉いとか云々ではなく間違いなく測り知れないくらい多くの経験のある先生なんだなと非常に安心して読めます。
何がスゴい!?
私の書評としては、この本の素晴らしさは2点あります。
- かなり実践的なフローチャートを教えてもらえる
- 市中病院なのか大学病院なのか、診療する背景に応じた疾患頻度も考慮されている
- 恐らく著者の念頭には、ERや一般内科外来を主にやっている医師、と、神経内科専門だがめまいにまだ苦手意識がある医師、の2つの対象があるように思える。内容もその2つの対象に対して話しかけるように書かれている
フローチャートに関しては、かなり実践的です。私は普段、HINTs試験や神経所見などを用いて中枢性めまいを除外に除外して、帰宅可能か後日耳鼻科受診で対応可能か判断しています。本書では今まであまり体系的に勉強してこなかった、「めまいの来す脳卒中」の体系的な勉強が可能です。しかも、一般内科医にとって丁度良いレベルの詳細さで、ピットフォールまで網羅してくださっているのでかなり安心できるフローチャートになっています。
また市中病院と大学病院では、めまい患者のPopulationが違うことにも言及してあり、今ま思っていた「脳卒中によるめまいってそんなに出くわさないなー(@市中病院)」とか「BPPVがほとんどって言うけど、あんまり典型例をみたことないぞー(@大学病院)」などの内容が解決されるでしょう!
また動画も交えて、かなり詳細に眼振のパターンなどを解説してあり、この部分は後で必要に応じて読み返さないといけない部分です。かなり詳しく解説してくださっています。ただ、その前にこれから先はマニアックですよーと注意書きしてくださっているのも著者の優しさを感じます。
実体験と照らし合わせて
私が初期研修医時代に、ERに50代女性のめまいの患者さんが救急搬送されてきました。家で、急に目の前がぐるぐる回るようで気持ち悪くて動けなくなったそうです。しかしいくら神経診察やHINTsやHINTs+をしても中枢性ではない所見ばかりでした。またMRIを撮影しても、特にDWIやADC mappingで異常はなかったんです。さすがに帰宅にしようかと、点滴を外し歩行してもらうと、立位すら難しく歩けないのです。
さすがにこの状態では帰宅させられないので、経過観察目的に入院としました。念の為、3時間後にMRIフォローすると見事に小脳虫部下部に梗塞巣があったのです。この経験から神経所見に異常はなくても、歩行できない人は帰宅させない!歩行障害も立派な新鋭所見だとキモに目命じていたのです。
この本には当然のように同じことが指摘されており、もっと早く出会いたかったorz
まとめ
さて、第1回目の本棚どうだったでしょうか。個人的には、最近読んだ中でヒットした本だったので記念すべき第1回目としました。みなさんもこの本を参考に、「めまい診療?簡単だよ!」といえる素敵なドクターになってくださいね!
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