抗菌薬マスターシリーズ~バンコマイシン~

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Ola!少し更新滞りましたが、再開します!マッチング企画は少し待っててくださいね!

今回は久々の抗菌薬です。ついに登場のバンコマイシンです!抗MRSA薬は内容多いので薬剤ごとに紹介しようと思います。なにはともあれ、バンコマイシンを制するものがMRSAを制する!と言っても過言ではありません。

そもそもMRSAとは?

MRSAとは、Methicillin Resistant Staphylococcus Aureusのこと.外来性のmecA遺伝子を獲得したことにより、ペニシリン結合蛋白(以下、PBP)が変異しPBP2aとなったことで全てのβラクタム薬がPBPに結合できなくなり耐性化してしまったStaph aureusのことです.またmecCという遺伝子によりPBP2cという変異PBPも報告されておりいずれもMRSAとなります.
世界初の報告は、1961年に発表された英国からの報告で、5440株のStaph aureusから4株がMRSAであったとの報告があります[1].  

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MRSAに活性のある抗菌薬丸覚え!

感染症治療においてβラクタム系抗菌薬は主役中の主役です。ところがMRSAにおいては、その主役が全く刃が立ちません。全滅です。

そこで登場するのが抗MRSA薬たちです。以下に臨床において覚えておくべき抗菌薬を列挙します。最初にこれらを丸覚えしてしまうのが、抗MRSAにおいて薬を理解するコツです!

MRSAマップ by MindMeister

点滴のみなのか、内服もあるのか、が非常に重要です!マップの下側は内服薬もあるため、治療が長期になるようなIE、椎体炎、複雑性皮膚軟部組織感染症では重宝します!

一方で急性期にはやはり点滴による治療を行わなければならないので、上側の点滴薬が活躍します(リネゾリドなどは点滴もあり、そちらも使用場面あり)。

中でも最も歴史があり、様々な研究がなされてきたKing of Anti-MRSA drugがバンコマイシンです!今回はこのバンコマイシンを徹底マスターしましょう!

バンコマイシン~抗MRSA薬の永遠のNo.1~

とりあえずバンコマイシンを制覇すれば、抗MRSA薬のほとんどは終了です押さえるべきは、

  • 投与設計と目標トラフ
  • 副作用

です。TDMが必要になるので、薬剤師の方々と協力して治癒を目指しましょう!

バンコマイシンマップ by MindMeister

さて、バンコマイシンの効果はそのトラフ値によって決まってきます。つまり濃度次第なんです。マップの右側にあるように疾患によって狙う値が違ってきます。ざっくりいうと、重症そうもしくは移行性が悪そうな場所であれば15-20を目指すということです。

ただ実際には投与の効果があると考えれば、やや低めの濃度でも妥協することはあります。ただ10を切ってしまうと、耐性菌を増やしてしまう危険があるので注意しましょう!できれば10以上は保ちたいところです。

濃度が上がらないと効果が十分ではないので、最初の1投与目はLoadingといって、多めの量をドカン!と投与します。その後2投与目以降は少なめの量を1日2-3回投与して濃度を維持します。この最初の1投与目は躊躇しないでください。これがないといつまでも濃度が上がらない羽目になります。腎機能正常の場合はなおさらです。

そして、ICUやすでに腎障害ある患者でなければ、4-5投与目でトラフ測定します。理論上はこの投与回数で定常状態にいたるからです。例えば3投与目の前に測っても、もしかしたら同じ用量を継続しても濃度は上がるかもしれないし、やっぱり下がるかもしれないしと判断が難しいのです。

副作用に関しては、腎障害が重要で、15以上でリスク高いです。腎機能は尿量や血液検査でこまめに見ていきましょう。またピペラシリン/タゾバクタムとの併用は腎障害のリスクが高いことは以前の記事にも書きましたね[2]!やってしまいがちなレジメンなので注意しましょう。

Red neck症候群は一度見ると忘れられません。全身が赤ーくなります!でもアレルギー反応ではないのでびっくりしないでください。ゆっくり投与すれば大丈夫なんです。ただ本当に1型アレルギーが生じている可能性もあるので、

  • 粘膜症状がないか
  • 呼吸症状、特にwheezesやStridorは聞こえないか
  • 腹痛や下痢はないか
  • 膨疹

などがあると1型アレルギーの可能性があります。慎重に診察しましょうね!これからバンコマイシンが使用可能かどうかの瀬戸際なのでものすごく重要です!

さてこれでみなさんは、バンコマイシンの投与設計とTDMができる状態となりました。そして最も重要な副作用2つもマスターしました。次回はダプトマイシンを扱います!乞うご期待!

引用文献

  1. M. Patricia Jevons Br Med J. 1961 Jan 14; 1(5219): 124–125.
  2. lVan Hal, S. J., et al.2013 AAC 57(2): 734-744.
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