Ola! みなさん、1週間もやっと半分です。いかがお過ごしですか?私は病棟がバタバタしており少し忙し目の1週間になりそうです。でも、今週末はまたもや3連休ですのでもう少し頑張りましょう!(マクロは3連続オンコールであることは秘密ですw)
さて、今回はリネゾリドを扱います。さらに新薬であるテジゾリドも一緒に学びますのでお楽しみに。*COIは驚くほどありません。
オキサゾリジノン系抗菌薬
リネゾリド(以下、LZD略)も、テジゾリド(以下、TZD略)もオキサゾリジノン系に属する抗菌薬で、30Sリボソームサブユニットに結合してタンパク合成を阻害します。バンコマイシンやダプトマイシンが細胞壁合成阻害薬であったことと比較すると面白いですね。
スペクトラムは他の2剤と同様でMRSA含めたGPCに効果があります。
リネゾリドの特色
- 腎機能や肝機能で調整不要
- 600mg 1日2回 点滴もしくは内服
- 静菌性
という他の抗MRSA薬にはない特色があります。ではリネゾリドの具体的な使用場面とはどんな場合でしょう。
- 腎機能が悪い、逆に腎機能が良すぎてVCMのTDMが難しい
- VCMやDAPTにアレルギーがある
- 内服にするとき
- 組織移行性を重視する場合(皮膚軟部組織感染症など)
などです。これは別の言い方をすると、
「VCMが使用できない場合の第2選択肢」としての役割が強いということです。
髄膜炎に関しては、やはり殺菌性の抗菌薬を使用したいのでVCMを選択します。炎症のある髄膜であれば、VCMでも移行しますしLZDの優位性は絶対的ではありません。
また血流感染症に関しては、第1には使用できません。これは静菌性というとこからも納得できますね。
肺炎に関しても、VCMに対して非劣性である臨床試験はありますが、メタ解析では優位性はありませんでした[1、2]。
副作用
覚えておくべき副作用は以下の3つです。
- 血球減少:特に血小板
- セロトニン症候群:MAO阻害の作用があるので、SSRIやSNRIとの併用は禁!
- 末梢神経障害:視神経炎
特徴的ですよね。抗MRSA薬はこのように副作用も特徴的なので覚えやすいと思います。がんがんAnkiに登録して覚えてしまいましょう!
血小板減少は特に、2週間以上の使用や腎障害でリスク上昇します[3, 4]。ちなみに保険収載の投与期間も2週間までです。
いきなり登場!テジゾリド!
テジゾリドはリネゾリドの弱点を克服すべく開発された新規オキサゾリジノン系抗菌薬です。
- 1日1回投与
- 血小板減少などの骨髄抑制の頻度が少ない[5]
などの利点がありますが、現在のところは皮膚軟部組織感染症のみ保険収載です。今後の用途拡大に期待ですね。
さて、以上になります。わかりやすかったでしょうか?今までで、
- バンコマイシン
- ダプトマイシン
- リネゾリド
をマスターできました。恐らく感染症科医でなければこれ以上は不要です。なんならバンコマイシンのみでも良いくらいです。しっかり復習してマスターしてくださいね!
Adios!
引用文献
- Clin Infect Dis. 2012 Mar 1;54(5):621-9.
- BMJ Open. 2013; 3(10): e003912.
- Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2007 May;26(5):353-6.
- Int J Antimicrob Agents. 2006 Oct;28(4):345-51.
- AAC. 2015 Feb;59(2):864-71.
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