皆さん、Ola!Dr.マクロです。最近のニュース等と、ZOZOの買収報道でしょうか。孫さん率いるヤフーにより買収が決定し、まつZOZOの前澤氏が辞任されましたね。どうやら最後の最後まで自分が見を引くかどうか悩んでいたそうです。確かに1代でここまでの会社を作りあげた方ですから、身を退くのは色んな思いが駆け巡ったでしょうね。
ただ新しい事業や宇宙への想いを胸に再スタートされるようなので、これから前澤氏に期待ですね!
さて、今回は久しぶりの抗菌薬ですが、チゲサイクリンを扱いたいと思います。名前は聞いたことあるけど、きちんと説明できない抗菌薬の代表格ではないですか?これからの耐性菌時代により需要が高まる可能性がある抗菌薬ですので、ここでサクッとまとめて起きましょう!
チゲサイクリンの特徴
作用機序は基本的にタンパク合成阻害薬です。アミノグリコシド系やクリンダマイシン、ミノサイクリンなどと同じです。ちなみにミノサイクリンを元に作られた経緯があるようです。
ほかのタンパク合成阻害薬と結合部位が微妙に異なり、交叉耐性が少ないです。
そしてなんといっても最大の特徴は、「スペクトラムが超広い!」ということです。多剤耐性アシネトバクターやESBL産生菌、AmpC産生菌、CREなど耐性菌にすら活性を持ちます。その理由としては、①細菌のもつEfflux pumpに強いこと、②リボソーム保護機構を回避できるなどの理由があります。
「おーそれはスゴイ!なんていい薬なんだ!」となりそうですが、そうは問屋が卸しません。。。。決定的な弱点があります。
- 効果のない菌が3種類→3Pと覚えましょう!
- Pseudomonas aeruginosa
- Proteus spp
- Providencia spp
- HAP/VAPに対して、イミペネムと比較した研究ではチゲサイクリン郡で治療失敗が多かった[1]
- メタアナリシスでも、他の抗菌薬に対する非劣勢示せず有害事象が多い結果であった[2]
- 1つのRCTで、VAPに対してHigh doseのチゲサイクリンはイミペネム、または通常用量のチゲサイクリンよりも良いOutcomeであり、有害事象は変わらなかった[3](Highの基準はSanfordなど参照してください)
というわけで、理論上はいろんな菌に効いていいね!ってなりそうですが、リアルワールドではそううまい結果にはならなかったんですね。以上を踏まえると以下の状況が使いドコロ!となります。
- 多剤耐性GNRに対しての多剤併用療法の1薬剤(High Doseで!)
副作用
最も多いのは消化器症状です。嘔気や嘔吐ですね。結構辛いので、使用する場合は制吐薬の仕様も検討しましょう。
頻度は低いですが、光線過敏症や膵炎などの特徴的な副作用もあります。これは同じテトラサイクリン系のミノサイクリンにもある副作用なんです。
以上!今回は今後使用場面の増えるかもしれないチゲサイクリンを紹介しました。多剤耐性菌時代の一つの武器ですね。でも何より重要なのは抗菌薬適正使用で耐性菌を増やさない!ことですよ。Adios!
引用文献
- Diagn Microbiol Infect Dis. 2010 Oct;68(2):140-51. PMID: 20846586
- Lancet Infect Dis. 2011 Nov;11(11):834-44. PMID: 21784708
- Antimicrob Agents Chemother. 2013 Apr;57(4):1756-62. PMID: 23357775
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