Ola!
さあ、ひとまず今回でステロイド最終回とします。書くほうも読むほうも飽きますよねw。
さあ、今回は今まで扱わなかった3つの副作用をお伝えします。これらにはあまり予防法はないので症状や所見で早期に気が付く必要があります。ある意味で腕の見せ所ですね!早速行きましょう!
ステロイド筋症:Steroid myopathy
PSL30㎎以上の中等量以上の使用でリスクが上がります。また興味深いのが、ベタメタゾンとデキサメタゾンというフッ素基を持つステロイドで多いんですね。
障害されやすいのは、「お尻周辺!」で覚えましょう。つまり骨盤内や大腿近位部の筋力低下が生じやすいです。痛いというよりは、「だるい、歩きにくい」などの訴えが多い印象です。
対応はずばりステロイドの減量です。それしかありません。改善するには1か月以上かかるのでゆっくりと慎重に見ていきましょう。
無血管性骨壊死
PSL20㎎以上の使用歴があるとリスクが上昇します。また減量した後もリスク低下しないという厄介な病気です。そして、中長期間使用したからというわけではなく、開始後比較的早期に発症しうるのですね。
股関節痛の精査で骨折がない場合は、この疾患を疑ってMRIを撮影しましょう。T2強調画像で二重線の高信号域がみられるはずです。
治療は、骨頭が圧壊する前ならば荷重を避けて保存治療できます。ただ圧壊してしまった場合は手術となります。とにかく早期発見が大事です!
血球たちへの影響
さあ、最後です。ここでは血球たちへの影響をまとめましょう。こんな場面に出くわしタことはないですか?
- ステロイド開始して数日後、血液検査施行するとWBC:13000/μL、好中分画:80%、と真っ赤な文字の血液検査が!大変だー!感染症だー!
これはもはや研修医あるあるですよね。これは患者の全身状態が変わりなくバイタルサインの変化なければ全く問題なしです。理由を説明します。
ステロイドはすべての血球にある程度影響を及ぼします。感受性の違いがあるので以下にまとめます。
- 好酸球:感受性No1!アポトーシスが誘導され著減する。というか0となる。ステロイドが好酸球性炎症が主体の疾患には著効するのはこういう理由です。
- リンパ球:これもアポトーシスやサイトカイン産生抑制効果があります。どちらかというとBリンパ球のほうが効きにくいです。でも超高用量ならば効きます。
- マクロファージ:感受性低く効きにくいです。
- 好中球:これ以上分裂せず遺伝子発現も少ないため、そもそもステロイドが作用する核内作用点がありません。ただ、ケモカイン抑制や血管壁の接着分子発現低下により遊走能を低下させることはできます。これが、血液検査で好中球優位のWBC上昇が生じる原因です。勘のいい読者は気が付いたかもしれませんが、すでに組織に遊走した好中球には歯が立ちません。
というわけで、血算の変化のまとめをしますと
- 血算で増加:好中球(遊走できないだけ)
- 血算で減少:リンパ球、マクロファージ、好中球以外の顆粒球(特に好酸球は0に)
さて、長かったステロイドも最終回です。ここまでのことをマスターすると相当にステロイドに詳しくなったといえるでしょう。実際に使用して経験を積み、知識をしみこませてくださいね!
Adios!
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