Ola!お久しぶりです!最近忙しく更新できておりませんでしたが、そろそろゆっくりと再開します。
更新していない間にも検索などから来ていただいているみたいで嬉しい限りです。
今回はステロイドの副作用で、骨粗鬆症に着目します。ステロイドの副作用で生じる骨粗鬆症を、「グルココルチコイド起因性骨粗鬆症:Glucocorticoid-induced osteoprosis, GIO」といったりします。リスク推定と予防をしっかりと抑えましょう!
リスク評価
さて、まずはステロイド使用によってどれくらい骨折リスクがあるか推定する必要があります。それによって、予防方針が変わります。
よく骨粗鬆症にFRAX®というツールを使います。これはsheffield大学が開発した骨折リスク推定ツールで非常に良くできています。計算ツールが多国語で公開されていますのでぜひ活用ください。ただ、この計算ツールの弱点は2つあります。
- 閉経前女性
- 50歳未満の男性
は適応できません。確かにステロイド使用なければこれらのポピュレーションに骨粗鬆症による骨折リスクを推定する意味もあまりありませんしね。ただステロイド使用は若年でもありえるので、別のツールが必要です。そこで、 ステロイド骨粗鬆症ガイドライン2014改訂版 に載っているスコアが役立ちます。
- 既存骨折:あり7点、なし0点
- 年齢:50歳未満0点、50-65歳:2点、65歳以上:4点
- ステロイド投与量(PSL換算):5mg未満0点、5-7.5未満1点、7.5mg以上4点
- 骨密度%YAM:80以上0点、70-80未満2点、70未満4点
これで3点未満なら予防不要、3点以上なら予防開始します。
予防法
まず、骨折しないように予防する一次予防と、骨折してしまった後の二次予防があります。
- 一次予防:ビスホスホネート製剤(アレンドロネート、リセドロネート)、活性型ビタミンD製剤(アルファカルシドール、カルシトリオール)
- 二次予防:上記に加え、テリパラチド
やはり骨折予防のエビデンスの最強はBP製剤です。一次も二次予防もできます。顎骨壊死の副作用があり、事前に歯科診察が必要です。これの機序は諸説ありますが、分かりやすいのは、感染などで壊死した組織を排出できずかつ新しい骨組織を形成できず(BP製剤で骨代謝が止まっているため)、壊死が進んでしまうそうです。なので、事前に歯科的問題がなくとも、開始後のデンタルケア指導は必須です。
また内服した後に30分間は寝転んではいけません。なぜなら寝転んで食道壁に薬剤がくっつくとそこで壊死を起こしてしまうからです。内服後に臥位にならないような指導も必須です。
活性型ビタミンD製剤に関しては、プラセボやCa製剤と比較して大腿骨と椎骨の骨密度上昇、椎体骨折予防の効果があります。副作用は少ないですが、定期的にCa、Pはチェックしましょうね!高Ca血症で悪心嘔吐ってのもよく見かけます。
テリパラチドは副甲状腺ホルモン(PTH)製剤で、二次予防に効果があります。しかも椎体骨折に関してはアレンドロネートより優位性があるという結果でした。一次予防でないことや24ヶ月連続投与までしか認められていない点は注意です。
さて、いかがでしたか?小難しそうなGIO予防が見えてきましたか?たかが骨折、されど骨折です!骨折によってADLは著明に低下してしまいます。そこから褥瘡や誤嚥など様々な疾患が襲いかかりフレイルが進行していくのです。ぜひ日本の骨折を減らしていきましょう!
Adios!
引用文献
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療 ガイドライン – 日本骨代謝学会
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