COVID-19~抗凝固療法②~

COVID-19
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Ola!

みなさんこんにちわ!徐々にCOVID-19の患者さんは減ってきていますね。これが緊急事態宣言の結果なのか、どうなのか。でも入院でコロナ診療をしていると、初期のころと比べて圧倒的に高齢者が多くなりました。携わっている皆様、同じような意見なのではないでしょうかね。

高齢者施設や療養型病院、リハビリ病院などのクラスターで感染した方々が非常に多くなっています。これが感染の終焉なのか、はたまた途中経過なのか。考えても答えは出ませんが、早く医療者や高齢者、リスクのある人口にワクチン接種ができるとよいですね。

さて、今回はCOVID-19と抗凝固療法の後編です!いよいよ実際にどう抗凝固療法をするかについて解説します。断っておきますが、この領域はまだまだEvidenceが少ないので、明確なEBMが実践しにくい領域です!あくまで1人の臨床医の意見だと思って気軽に読んでください!

結論から

まず我々が実践している方法を最初に書きます。

肺炎像あり or SpO2低下あり→全例、予防的抗凝固療法を行う。

入院時点で血栓の存在が証明されている→治療的抗凝固療法を行う。

併存症の中に抗凝固療法が必要な疾患がある→それぞれの疾患に合わせた抗凝固療法を行う。

*以下の場合は抗凝固療法は導入しない

明らかな出血がある、既にPT/APTTが延長している、血小板が低値(5万/μL未満程度)

以上です。あまり特別なことをしているわけではないですが、欧米に倣って禁忌なければ抗凝固療法は行う、というスタンスです。強調しておきたいのはD-dimerの絶対値による判断はしない、ということです。D-dimerが上昇していることや、経過として上がってきた、下がってきたという事実は診療に役に立ちますが、絶対値では何も決められないのです。CRPと同じですね。次に予防的と治療的の違いを定義します。

予防的抗凝固療法: ヘパリンCa皮下注射 1回5000単位 12時間毎、又はヘパリン持続静注を使用してAPTTが基礎値の1.5倍未満の延長に抑える。

治療的: ヘパリンNaの持続静注 10000単位/日 APTTを基礎値の1.5~2.5倍に延長するよう調整

です。こちらもどの病院でも変わりはないと思います。海外では低分子ヘパリンやアルガトロバンなど使用薬剤のバリエーションが豊富です。日本は低分子ヘパリンの保険適応が狭く、かつ世界でも有数の未分画ヘパリン信者の国なので上記のようなPracticeが多いと思います。

次にいつまで投与するのか問題です。これも答えがありません。以下の基準に当てはまれば中止するようにしています。

  • 離床ができている
  • COVID-19としての病勢が改善している
  • 血栓が証明されていない
  • D-dimerが一貫して減少傾向、または感度以下となっている

こういった基準を満たしていれば中止しています。特に離床とCOVID-19肺炎としての改善は重要です。前の記事でもお話しした通り、COVID-19という疾患自体で血栓傾向となります。それはさながら担癌患者の血栓傾向のようなものです。つまりCOVID-19自体が改善しないと、血栓傾向も改善しないので抗凝固療法が中止しにくいのです

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未分画ヘパリンの使用方法

これはCOVID-19には関係ないですが、ここでお話しておきます。実はヘパリンの投与方法にはバリエーションがあります。初期研修医の先生方は1つの病院しか経験していないのでわからないと思いますが、主に以下の2パターンあるのでどちらでもオーダーできるようにしておきましょう!

パターン① 1日の投与単位を決めておく方法

これは、例えば10000単位/日を投与すると決めて、それを24時間持続して投与する輸液などに混注する方法です。

  • 未分画ヘパリン10000単位/10mlを生理食塩水460mlに混注して20ml/hrで投与
  • 未分画ヘパリン10000単位/10mlを生理食塩水230mlに混注して10ml/hrで投与
  • 未分画ヘパリン10000単位/10mlを生理食塩水38mlに混注して2ml/hrで投与

などですね。この方法に良いところは1日の投与単位数を基準にできるので感覚的にわかりやすいことです。欠点は微調整がしにくいこと。投与量を増やしたい、減らしたいなどがやりにくいです。24時間で切りよくしているので、増量するには別の組成のものを新しくオーダーしてつなぐか、中途半端な速度で投与して、終了したら新しいオーダーにつなぎなおしてもらうかです。

これはAPTT管理を厳密に行わなくてもよい場合に多いですね。出血のリスクが少ないなどです。

パターン② 100単位/mlの組成を作る方法

これはあらかじめ100単位/mlとなるようなオーダーを組んで、投与速度を調整していくやり方です。

  • 未分画ヘパリン10000単位/10mlを生理食塩水90mlに溶解して、5ml/hrで投与開始

といったやり方です。このオーダーだと出来上がったヘパリン生食は100単位/mlという組成になっており、5ml/hrだと500単位/hr → 12000単位/日くらいで投与している計算となります。

この方法の利点はとにかく速度調整がしやすいです。APTTが伸びない場合は6ml/hrや7ml/hrに挙げればよいだけなので、新しい組成のヘパリンをオーダーする必要はないです。個人的にはこちらの方法の方が好きですが、結論はどちらでもよいです(笑)。

色んな方法があるんだなと思ってもらえれば十分ですね。

最後に

今回の記事はここまでにします。読んでもらうとわかると思いますが、答えはありません!しっかりとしたEvidenceがあればもちろん良いのですが、ない部分ですのでみんな手探りなんです。

でもそういう領域こそ、いろんな人のやり方、方法を知りたいとおもうものです。今回の記事もArtかScienceだとArt寄りの記事となりますがぜひご参考にされてください。

質問やご意見はコメント欄でバシバシお待ちしております!

Adios!

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