みなさん、Ola!Dr.マクロです。最近の趣味は、Youtubeで吉田研究所を流し続けることですかね。なかなかおもしろいチャンネルなので、皆さんもぜひぜひ!
さて、今回はインフルエンザ2回目です。治療と予防に関してやっていきましょう!特に治療に関しては、薬剤の種類が増えてきてエビデンスもごっちゃになってしまいがちなので、スッキリとまとめたいと思います!
治療薬の種類
インフルエンザの治療に関しては、大きく2種類です。
- 抗インフルエンザ薬
- 対症療法薬
です。他のウイルス性気管支炎などど違うのは、抗ウイルス薬があることですね。しかし、この抗インフルエンザ薬が実はややこしく誤解を生む原因となっているので、しっかりとまとめましょう!
高インフルンザ薬の機序は2種類です。ノイラミニダーゼ阻害薬とエンドヌクレアーゼ阻害薬です。あれ?ノイラミニダーゼってどっかで聞いたような、そうです前回の記事でインフルエンザウイルスの表面にある抗原の1つでしたね。この表面蛋白はウイルスが宿主細胞から出ていく(発芽するといいます)時に必須の蛋白で、それを阻害することでウイルスの増殖を防ぎます。
さて、以下にそれぞれの抗ウイルス薬の特徴をまとめます!
この表から感じ取ってほしいメッセージは、
- いずれも発症48時間以内に投与する必要がある
- 高齢者、乳幼児、基礎疾患のある患者で合併症予防や死亡率軽減が示されているのはオセルタミビルとザナミビルの2剤のみ![1]
- 妊婦も投与を検討すべきで、使用されるのはオセルタミビルとザナミビルのどちらか。内服無理ならペラミビル
- 予防投与としてエビデンスがあるのもオセルタミビルとザナミビル、ラニナミビル[2, 7].
- ザナミビルは気管支攣縮する可能性あるため、COPDや喘息は禁
といった点です。特に48時間超えると乏しいな領域になるので推奨されません。そして、皆さん感じてくれたと思いますが、「タミフルとリレンザ、しゅごい!!」ですよね。
ちなみにここでいう基礎疾患は、
- 心疾患・肺疾患(喘息を含む)・肝疾患・腎疾患・糖尿病・免疫不全、悪性腫瘍、神経疾患、肥満[3]
私見ですが、有症状機関の短縮と言っても、わずか1日です。投与しても1日解熱が早まるくらいの効果なのでリスクのない人に抗インフルエンザ薬を投与するメリットは少ないように思います。
一方で、ハイリスク患者や妊婦に対しては死亡率軽減や合併症率の軽減がわかっており、抗インフルエンザ薬の投与は妥当でしょう。その歳は、オセルタミビルやザナミビルを選択されると良いです。
また予防投与に関しても、集団発生のリスクや影響が大きい場合、また発症した場合に死亡率や合併症率が高い場合は考慮しましょう。医療従事者は、病院内で流行すると大変ですので良い適応であると考えます。
ワクチン
不活化ワクチンを接種します。効果に関しては、国内外から様々な研究が出ており、概ねワクチン接種を推奨する結果となっています。日本国内では、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者に対して接種した場合、34-55%の発症を、82%の死亡を阻止したとされています[4]
定期接種の対象者は、以下のとおりです。なお13歳未満は2回接種、13歳以上は1回接種で十分です。
- 65歳以上
- 60~64歳で、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される人
- 60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な人
対症療法
解熱鎮痛薬としては、断然「アセトアミノフェン」を推奨します。小児において、インフルエンザ患者で非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDsを使用した場合にライ症候群やライ様症候群のリスクが上昇するという報告がアメリカでも日本でも出ています[5]. 成人では明らかなデータはないですが、積極的にNSAIDsを使用する理由はないので、アセトアミノフェンにしておきましょう!
皆さん、麻黄湯をご存知ですか?実は、日本では盛んに研究された漢方で、抗インフルエンザ薬と同等もしくは、それよりも優位に解熱期間を早め、その他の症状緩和もできるとされています。残念ながらシステマティックレビューではRCTが少なく結果は否定的なものでしたが[6]、何らかの理由で抗インフルエンザ薬が使用しにくい場合に1つの選択肢として持っておいても良いかもしれません。
さて長くなりましたが、インフルエンザも完結です。私も何人もインフルエンザ患者を見てきました。やはり実際に臨床の現場で悩んで、悩んで、勉強すると身につくものです。若手の医師や、その他医療従事者の方々も正しい知識を身につけて患者さんのために働きましょう!
Adios!
引用文献
- McGeer A, et al. Clin Infect Dis. 2007 Dec 15;45(12):1568-75.
- Doll MK, et al. J Antimicrob Chemother. 2017 Nov 1;72(11):2990-3007.
- CDC MMWR Recomm Rep. 2013 Sep 20;62(RR-07):1-43.
- 「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院)
- Mizuguchi M, et al. Acta Neurol Scand. 2007 Apr;115(4 Suppl):45-56.
- Chen XY, et al. Database Syst Rev. 2007 Oct 17;(4)
- Seizaburo Kashiwagi, et al. Clinical Infectious Diseases, Volume 63, Issue 3, 1 August 2016, Pages 330–337
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