内科医の’眼’

コンサルト
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さて、前回はヘルペスに関して書きました。引き続きワクチン、PHNに関して!と思いましたが、祝日でもありますし閑話休題的な話題をまとめましょう。しかし、非常に重要で意外とまとめがない話題でもあります。

ずばり、

「眼科コンサルトが必要な内科疾患」

です!特に視力障害に直結する病態を呈する内科疾患をまとめます。

解剖別にまとめよう!

眼の解剖を思い出してください。解剖毎にどこに異常があると視力障害が起こるでしょうか。ここではあくまで内科医として(非眼科専門医として)押さえておくべき、解剖をまとめます。

  • ぶどう膜
  • 網膜
  • 視神経
  • それ以外(角膜、水晶体、硝子体などなど)

以上の4つに分けましょう。このくらいざっくりのほうがまとめやすいし、結果として覚えやすいです。そして解剖別に障害を起こしうる内科疾患を列挙します。今回もマインドマップを使ってみましょう!

MindMeister使用

かなり網羅的になってしまったので、あくまで鑑別に悩んだ際にご活用ください。眺めてみると、やはり膠原病や自己免疫性疾患がすごく多いですね。

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カンジダ菌血症&S.sureus菌血症&Klebsiella菌血症

カンジダ菌血症は、幅はありますが約10%程度に眼合併症が起こるとされており、日本からの報告では入院しているカンジダ菌血症において20%発症したようです[1, 2].真菌では糸状菌も眼の合併症を起こしうるのですが、そもそも糸状菌菌血症が少ない、かつ治療しても起こってしまうと眼の予後は悪いです(生命予後も当然に悪いです)。一方で、カンジダ菌血症の場合は、治療すれば予防かつ視力予後も良いので眼科コンサルトは必須です。

では細菌はどうでしょう。コンサルトすべきは上記の2菌種です。特に日本を含む東アジアではKlebsiellaによる肝膿瘍からの菌血症で眼を巻き込む症例が多いようです[3]。いずれにしても、2つの菌が血液培養から生えたら、感染巣の検索に加えて視力障害の有無を確認しましょう。全例必須ではないですが、症状あれば必須です。

巨細胞性動脈炎:Giant Cell Arteritis、GCA

これも有名な疾患ですね。発熱、倦怠感、CRP&ESRの上昇などの全身性の炎症反応、頭痛や顎跛行などの血管炎症状あれば疑わしく、側頭動脈生検で確定診断します。

GCAに眼の合併症が起こる確率はレンジが広すぎて参考になりませんが、少なくとも15%以上の確率ではありえますので、注意です[4]。眼合併症ある場合はステロイドパルス療法の適応なのでコンサルトは必須ですね。

多発性硬化症

典型的には、片側性の有痛性の視力障害を呈します。脱髄性疾患であり、視神経が脱髄して症状を呈するのですね。時間的、空間的に多発するというのも特徴です。

サルコイドーシス

最後にサルコイドーシスです。主にブドウ膜炎が有名ですが、眼内病変何でも起こしうる内科疾患の王様です。20%に眼合併症を起こすとされます[5]。

また注意すべきは、他のサルコイドーシスの症状改善しても、眼合併症は治ることもあるし、慢性変化を残すこともあるし、再発する可能性もあるのです。つまり必ずしも全身の症状と相関しないのです。特に再発する症例ではACEが高値であったという報告もあります[6]。

さて今日はここまでです!マインドマップは鑑別に困った際の参考に。取り上げた4病態は必ずマスターして、眼科医の先生方に適切コンサルトできるようにしましょう!

Adios!

引用文献

  1. Clin Infect Dis. 2011 Aug 1;53(3):262-8.
  2. Infection. 2018 Oct;46(5):635-640.
  3. Ophthalmology. 2000 Aug;107(8):1483-91.
  4. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2016 Dec;254(12):2291-2306.
  5. Am J Ophthalmol. 1978 Nov;86(5):648-55.
  6. Am J Ophthalmol. 1988 Oct 15;106(4):467-72.
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