細菌マスターシリーズ~髄膜炎菌~

勉強
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はいどうもみなさま!Drマクロです!今回から新シリーズ、細菌マスタシリーズが始まっちゃいます!これは毎回1つの細菌をピックアップし、特徴や臨床でのポイントは簡潔にまとめていきます!さらに、特徴として比較的珍しい細菌から取り上げようかなと思っています。なぜならそのほうが需要がありそうなので笑

記念すべき第1回目は髄膜炎菌こと、 Neisseria meningitidis (以下、N.meningitidis)です!

*アイキャッチ画像は髄膜炎菌とは何ら関連のないイメージです。

N.meningitidisとは??

まずはProfileをまとめますね!

  • 好気性のグラム陰性双球菌
  • 疾患:菌血症、敗血症、髄膜炎などを生じる
  • 好発年齢:小児ー成人ー高齢者まで、各年代で一位ではないがどの年代でも起こりうる
  • 伝播方式:飛沫感染
  • 全数把握の第5類感染症

といった感じです。以上の情報は国立感染症研究所の情報などを参考に作成しています。 以下リンクhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/bac-megingitis-m/bac-megingitis-iasrtpc/7784-455t.html

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莢膜を持つ

髄膜炎菌の臨床的に重要な点は莢膜(capsule)を持つことです。莢膜を持つとなぜ重要かお分かりですか?莢膜は特定の細菌が持つバリアの様なもので、多糖体で形成されています。これを持つ細菌は、好中球やマクロファージなどの食細胞が貪食しにくくなってしまうんです。その理由は様々あるようですが、陰性荷電が強く親水性であるために食細胞が近づけないなどが考えられています。 天児ら, 電子顕微鏡 1991 年 26 巻 1 号 p. 10-15

これを打破する人の免疫機構はなんでしょうか?それは抗体なのです。抗体のみ、または抗体+補体の結合は莢膜表面を疎水性に変化させ貪食細胞の機能を助けるのです。特にこの作用を「オプソニン化」といいます。微生物学で非常に重要な知識ですね。

では、抗体を産生できない液性免疫不全の患者が発症するとどうなるでしょうか。ご想像の通り、重症化してしまいます。以下のリストが液性免疫不全の代表的な病態です。

  • 脾臓摘出後
  • 抗CD20抗体製剤の使用(例:リツキシマブ)
  • 造血幹細胞移植後
  • 血液腫瘍:慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫
  • X連鎖無ガンマグロブリン血症
  • 補体欠損症

よってこれらの病態が基礎にある患者では特に要注意です。

治療はシンプル

基本的にペニシリン感受性ですので、菌が判明し感受性試験が分かればペニシリンGアンピシリンで治療します。経験的治療としては、細菌性髄膜炎としてセフトリアキソンでカバー可能ですので、N.menigitidisを考慮したから特別な抗菌薬が必要なわけではありません。

予防~ワクチンと内服~

現在、日本では任意接種として髄膜炎菌ワクチンを接種できます。対象者は髄膜炎菌の流行地域への渡航者と、上記ハイリスク患者(HIV患者も推奨)です。

また発症者と接触した人は、できる限り早期に予防内服を開始することがさらなる感染拡大を防ぎます。若い年代でも生じるので部活の合宿や寮生活、学校生活などで容易に伝播します。

使用薬剤は、シプロフロキサシン、リファンピシン、セフトリアキソンです。それぞれ除菌成功率はSystematic Reviewで検討されており、プラセボと比較して相対リスクを下げることが分かっています。 Zalmanovici Trestioreanu A, et al., Cochrane Database Syst Rev ; 10: CD004785. 2013

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コメント

  1. […] 65歳未満でも肺炎球菌感染症のハイリスク者 髄膜炎菌の記事も参照 […]

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