Ola!
皆さん、土曜日いかがお過ごしでしょうか。最近のマクロ内での話題は日経平均が上昇し続けていることです。これはもしや2万4千円台に突入するのでは??とほくそ笑んでいる今日このごろです。
さて、前回からステロイドの特集を組んでいます。今回は、特にステロイドパルスの経験のない医療関係者の方々へ、パルスとは何ぞやということをお伝えしたいと思います。
ステロイド使用量の分類
一応、ステロイドの使用量には段階があり、大まかには以下のようになっています。
- 少量・・・7.5mg/day以下
- 中等量・・・0.5mg/kg/day程度
- 大量・・・1mg/kg/day程度
- パルス療法・・・500-1000mg/day 3日間
こう見ると、パルス用量ってやばいですよね笑。ちなみにパルスの用量に幅があるのには理由があります。もともと、ステロイドパルスの始祖は「腎移植患者に対して使用して生着率が向上した」、ことなんです。以後、膠原病や様々な炎症性疾患での臨床成績が出てきて今に至ります。そして、この腎移植の際の用量設定が、「1000mg/day 3日間」であったわけですね。
なので250mg/dayや500mg/day(よくハーフパルスとか言いますね)では駄目!という根拠はありません。重要なことは、
「十分量を使用して、炎症をしっかり押さえること。そうすれば減量もスムーズ」
なんです。なので、少なくとも炎症を抑えるのに不十分な量をパルスで使用するのは避けたいところ。よって、1000mg 3日間がよく使用されます。
ステロイドパルスの注意点
よくステロイドパルスは量は多いけど、3日間で終わりだから副作用なんて気にしなくていっか、なんて思っているヒトがいますが大間違いです。パルスだからこそ要注意な副作用があります。3つ覚えましょう!
- 不整脈:Arrhythmia→モニター管理
- 高血糖:Blood sugar→血糖測定とスライディングスケール
- Na貯留による浮腫、心不全:Cardiac failure→心不全徴候ないか診察して、必要ならば利尿
それぞれの英語の頭文字をとって、ABCで覚えましょう!これらの対応は必須となります。あとは無血管性骨壊死に関しても、投与期間ではなく投与量に閾値がありますので発症のリスクとなります。また不眠に関しても起こる可能性がありますが、パルス終了後に後療法をしないのであれば長引く心配は少ないので一時的にベンゾジアゼピン系で対応可能です。
ステロイドパルスで使用するステロイドは?
ここからは理論的な話なので興味のある人だけで結構です。
ステロイドにはGenomic効果とnon-Genomic効果の2種類があります。前者はステロイドが受容体と結合して核内へ移行して遺伝子発現を調整します。一方、後者は細胞膜上の受容体に結合した後に直ぐに効果を発揮しますつまり遺伝子発現の調整ではない経路で作用します。
- Genomic効果:PSL 100mg/day程度の用量で効果は頭打ち
- non-Genomic効果:用量依存性に効果は上がる、特にメチルプレドニゾロンで最も効果が大きい
という特徴があります[1]。なので、mPSLを使用するのです。
さて、どうでしたか。今回の記事では、パルスの歴史、副作用、根拠について学びました!次回は副作用を扱っていきます!乞うご期待。
Adios!
引用文献
- Ann Rheum Dis. 2002 Aug; 61(8): 718–722.
コメント
[…] 期間が大事という説を支持する根拠としては、ステロイドパルス療法があります。これは例えばmPSL 1000mg/day 3日間連続投与、というような普段から考えるととんでもない量を使う治療法ですが3日間でスパッと終了しても副腎不全となることは経験しないです。ステロイドパルスに関しては別記事も参照くださいね! […]