初学者にとって論文でいちばん大事なポイントは?

Dariusz SankowskiによるPixabayからの画像 Notion
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Ola!Dr.マクロです。毎日更新と言いつつも、早速更新が遅れた点に関しては弁明ありません。懲りずにブログ見てくださってありがとうございます!

その甲斐性に感謝いたします!

さて、Notion記事は結構反響ありましたね!鋭意作成中ですのでお待ちを。今回はその前座として、論文の話をしましょう!あまり今まで論文の読み方やまとめ方の具体例を説明してこなかったですが、医療職何年生からでも、早めのうちに学んだほうが、後々有利です!

特に今回は、一般的には強調されないような点をあえて強調します。誤解のないように書くので慎重に読んでください笑。

論文の中であなたの最も重要視する部分はどこですか?

さあ、どうでしょうか?

結論?結果?それとも方法ですか?

実はこの問題は非常に難しいです。なぜならその論文を読む理由によって変わるからです。例えば、臨床の疑問点にぶつかり解決するために、ある論文を読むのであれば一番大切なPartは「Method:方法」です。これは間違いないです。なぜなら、そのエビデンスを目の前の患者さんに適応できるかどうかをしっかり判定しないといけないからです。

例えば、心拍出量が低下した心不全の患者さん(いわゆるHFrEF:ヘフレフですね)に対して、β遮断薬は慢性期管理において非常に有用です。必須薬といってもいいでしょう。リモデリング予防やEFの改善、心不全増悪の減少など様々な効果が証明されています[1,2]。

ではβ遮断薬はすべての心不全患者さんに投与されるべきでしょうか。答えは「恐らくNo」です。拡張障害のみで収縮能が保たれている心不全(HFpEF:ヘフペフ)では明らかなエビデンスはありません[3]。なので積極的な適応はないです。このように日常診療の方針決定などに活用する場合はMethodが最も重要で、しっかりと読み込む必要がありますね。目の前の患者にも当てはめられそうなら使うし、当てはめられなさそうなら使えない(正確には科学的根拠を持っては使えない)。これがEBMの有効性と限界でもあります。

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でも、初学者にとっては違う??

さあ、Methodが大事ですよ!というと、「当たり前でしょ!」となっちゃいそうですね。本題はここからです。特に初期研修医など若手医師にとっては、最も大事な部分は違うと、個人的には思っています。

そもそも、初学者にはその疾患や治療法などについての知識や歴史の流れがわかりません。果たして、どんな紆余曲折があってその治療法や診断法が生み出されたのか。上級医の先生方はスタッフはこの流れを把握できています。なので論文の結果や趣旨、Designなどがスッと入ってくるのです。

なので初学者がいきなり、論文を読んでもその結果自体は理解できるかもしれませんが、果たしてそれが臨床的に歴史的にどんな意味を持つのかはすぐにはわからないでしょう。

そこで、冒頭の質問の答です!初学者にとって、最も重要なのは、、、、、、

「Background:背景」です!

どうでしたか?意外でしたか?この背景こそ、手早く知識を得る近道だと考えています。

Background:背景の活用方法

背景はだいたい以下の流れとなっています。

  • 〇〇という疾患は非常に重要な疾患である。しかし、〇〇疾患において、~~という治療法に関しては明確なエビデンスは少ない(またはない)。
  • 以前の、・・・という研究では、・・・ということが示唆された。また別の***研究では、***という結果も出ている。
  • 本研究では、~~という治療法に関して、●●●ということを示す目的で研究をこなった。

背景を読むと、その疾患で分かっていることと、分かっていないことが端的にわかります。そして、それらに関する有力な論文が引用されているはずです(もちろん、手放しで褒められる論文ばかりではない)。

そこを重点的に読んでみると、今まで知らなかった研究の歴史や流れがわかります。特に最新の研究を読んでみると、現時点で明らかなことや分からないことが得られるので、とっても勉強になるんです。

EBMとはいうものの。。。。

EBMは現代医学の非常に強力な武器です。むしろ使わないほうが、罪なくらい普遍的なものになってきています(Internetの発展も大きく寄与しています)。しかし、初学者は上級医の見様見真似で、「~~にはエビデンスがあるからねー。」なんて声高らかに言いたいものです(私もそうでした。。)。

しかし、優れた臨床家は、EBMの実践のみならず、エビデンスがない領域のことも精通しています。むしろ、エビデンスがない領域にこそ病態生理学や生化学の知識を駆使して挑んでいるのです。

これはエビデンスをただ知っているレベルよりも更に上です。EBMは当たり前という感覚に達さないといけません。

ただ初学者でも、それらを意識して勉強することはできます。それが「背景読み」なのです。もし時間があるのなら、一つ勉強したいテーマを決めて関連する論文の背景だけを読み漁って見てください。きっと背景だけでも10も読めば、その勉強したいテーマに関する、背景知識や研究の流れがつかめてくるはずです。

その状態で、論文を読んでいくと、以前よりもずっと頭に入っていくるはずです。順番としては最初は可能な限り新しい論文から試しましょう。そのほうが手に入りやすいですしね。そして次は、あえて古い論文から読み始めます。すると、進むにつれて新しい論文の背景に、さっきの論文引用されてる!大事な論文なんだ!ということがつかめてきます。

最初から古い論文にしないのは、古い論文に引用されているのは当然、もっと古い時代の論文なので入手しにくかったり、時間効率が悪いからです(時間あればどんどん古く、果ては最初の報告までさかのぼってほしいものです)。

副効果として、なんでその治療や検査法を思いついたのか、ということも書いてあったりします。自分のideaの幅を広げるのにもおすすめです。

読んだ論文は、論文管理ソフトとNotionへ!

そしてせっかく集めて読んだ論文は、

  • 論文管理ソフト:Mendeley、EndNoteなど⇛論文を書くときには必須!
  • Notion:こちらは勉強の記録として残して活用するために!

の2つに入れ込んでおきましょう。具体的な方法はまた解説します!お楽しみに!

まとめ

  • 勉強したいテーマの論文の背景を、10個読もう!
  • 最初は新しい論文を読んで、その論文の引用文献を調べる。
  • その中から古い方の論文から、背景読みをしよう!
  • 読んだら忘れずに、論文管理ソフトとNotionへ!

今日は以上です!ぜひ今日から試してみてくださいね!

Adios!

引用文献

  1. Am Heart J. 2004 Feb;147(2):324-30. PMID: 14760332
  2. N Engl J Med. 2001 May 31;344(22):1651-8. PMID: 11386263
  3. Int J Cardiol. 2002 Nov;86(1):77-85. PMID: 12243852
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コメント

  1. […] この疑問が非常に重要です。なんでステロイドを使おうと思ったのか。この疑問を解決するためには、この記事で書いた、背景読みが非常に役立ちます。 […]

  2. […] 前の記事に書いた背景読み、を覚えてますか?概要はその時に記事を参照ください! […]

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