どうも、Dr.ほほえみです。最近は雨が降る日が多く、むしむしして嫌な日が続きますねー。天気予報をみて、今日は雨が降りそうだなっと思って傘を持っていくと雨が降らないのに、降水確率的に降らないだろうと思って傘を持ってかないと雨が降る。こんなことよくありますよね。
ということで、今回は前回に引き続きRSウイルス感染症についてです!
治療
治療の基本は、対症療法です。
酸素需要または無呼吸発作を起こしている症例は入院加療が必要です。
無呼吸発作に対しては、テオフィリンなどを使用します。
細気管支炎に対しては、気管支拡張薬やステロイドを使用するケースが多いと思いますが、実は治療効果としての明確なエビデンスはありません。治療ごとに掘り下げていきましょう。
● 気管支拡張薬
良く臨床で使用する機会が多いと思いますが、細気管支炎に対する気管支拡張薬の有効性に関して、コクラン・システマティックレビュー(2010年)や米国小児科学会(AAP)の細気管支炎ガイドラインで、酸素飽和度の改善や入院期間の短縮につながらないと言われており、ルーチンな使用は推奨されていません。
類似の症状を示す気管支喘息では気管支拡張薬は有効なのに対して、細気管支炎に有効でない理由としては、
気管支喘息→収縮している気管支平滑筋を拡張させることにより症状を緩和
細気管支炎→細気管支炎における気道狭窄は、気道の浮腫、粘液や脱落細胞による閉塞が主な病態となっているため気管支平滑筋拡張作用による症状緩和効果は限定的と言われている
●ステロイド
同様に、細気管支炎に対するステロイドの吸入あるいは全身投与について、コクラン・システマティックレビュー(2013年)では、外来使用での入院率を改善させず、入院期間の短縮につながらないとして有用性を支持していません。
●高張食塩水
細気管支炎に対して高張食塩水吸入療法の有用性が複数報告されています。
コクラン・システマティックレビュー(2013年)で、3%食塩水吸入群では入院期間の短縮と外来と入院例における臨床重症度スコアの改善がコントロール群と比較して有意に認められたと報告しており、重篤な副作用もなく、治療薬も安価であり、今後検討されるべき治療法と考えられます
●ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
細気管支炎に対するロイコトリエン受容体拮抗薬の有効性は確認されていません。
●リバビリン
抗RSV薬としてリバビリンがあるが、本邦ではRSV感染治療薬として認可されていない。
細気管支炎に対しては有用なエビデンスがないことが多いですが、実臨床ではウイルス感染に伴う気管支喘息発作には気管支拡張薬やステロイドは有効と考えています。RSウイルス感染症は、基本的には初感染時が一番症状が強く出るため、特にリスクのない初感染のRSウイルス細気管支炎に対しては、気管支拡張薬やステロイドは使用せず様子を見るのも手もしれませんね。
予防
RSV感染時に重症化しやすい高リスク児がわかっています。
・36週未満の早産児
・慢性肺疾患
・先天性心疾患
・Down症候群
・免疫不全
これらの児には、RSウイルス感染症の予防薬としてパリビズマブ(シナジス®)の接種が推奨されています。
乳幼児期にRSV感染症に罹患した場合、非罹患群と比較して、その後喘息様症状を有意に繰り返すことが報告されています。なので上記の適応児は、基本的には接種を心掛けましょう。
治療・予防編いかがでしたでしょうか。これでRSウイルス感染症に少し詳しくなったと思います。疾患自体はありふれたものなので、脳炎・脳症や心筋障害、肝炎など色々な病態の報告があります。まだまだ勉強することはたくさんありますね。こういう病態を呈することもあるというのを知っておくと、臨床で出会ったときに焦らないのでいいですね!こういうことはあるの?みたいなのがあればコメントいただけると幸いです。
それではよい週末を☘
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